5.0
貴重な経験の作品
「鬼門街」の作者の作品なので、読みました。
私は施設の経験はないけれど、8才から成人するまでかなりキツイ日々を過ごしたので、
この物語は、身につまされる思いでした。
子供の頃の苦労は、大人になってからのそれとは全く違っています。
小さな子供は、自分の置かれた環境を正確に認める事も評価する事もできないので、
時には自分が苦しんでいると自覚する事もできないまま、ずっと何年も苦しみ続けたりします。
私の場合、子供時代の記憶を清算するまでに、20数年かかりました。
私は「鬼門街」もとても好きだけど、それは、
悲惨な事や、卑劣な心の人達に沢山出会う主人公が、
いつも変わらぬ善良な心で、静かにそれらを見つめ続けていて、
きっとそれが、作者の心だと思うからです。
漫画家という立派な職業に就いて、素晴らしい作品を描き続けている永田晃一さんが、
暖かい家族に見守られながら、幸せで充実した日々を送られますように、
心から、深くお祈り申し上げます。
また、ご自身のこのような体験を、作品として世に出して下さった事、
厚く、お礼を申し上げたいと思います。
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