5.0
家族になる努力
最終話まで読みました。
学園モノというか、恋愛モノというよりファミリーストーリーでしょうか。
高校一年の佐藤風香は、両親が事故で他界して5年、一緒に暮らしていた叔母が夜逃げし、アパートに一人取り残され。学級長を務める風香は学校では悟られないように割りのいいバイトを探す中「住み込み家政婦」の求人に目を留める。
依頼主は、男所帯の長男宰(つかさ)。高校生で保護者の居ない風香の身を案じて家政婦として雇うことを決める。変装して、体型と年齢を変えて家政婦として住み込み始めると、そこは同級生の天才三男浬(かいり)の家で。大学生でモデルの次男燈(あかり)、いつもペットの「にっぽり君」と一緒の四男湊(みなと)。イケメン揃いの斎王寺兄弟ですが四人とも似ていない。両親も居ないなど謎が多く。
そんな中で、叔母に鍛えられた家事の才能を発揮する風香ですが、借金取りと携帯電話をきっかけに正体がバレて。
家計を握っている浬に解雇通告を受けてしまい「試雇用期間」を申し出て、そこで家政婦として認めてもらおうと努力する風香。少しでも落ち度があれば解雇をチラつかせる浬も、家政婦の仕事に取り組み、家族を気遣う風香の存在が気になり始め。風香に近づく燈にヤキモキする浬だが、素直になれず。一方、風香は燈のお陰で、自分の浬に対する感情に気づくも、ハッキリしない浬の態度に振り回される。湊の母親登場を機に家族の秘密を知り、浬の態度の裏にある本当の気持ちに気づく。そして、使わせてもらっている部屋から斎王寺兄弟の母親の日記を見つけて。
という、きっかけから兄弟のわだかまりが少しずつ溶けて。血の繋がりだけが家族でなく、それに甘えることなく、例え生まれた時の家族を失っても、自分たちで家族になる努力をして「帰る場所」になるのだと。
斎王寺兄弟は、四人とも子供の頃から親や周りに期待された役割を演じていて。ただ素直に甘えることが躊躇われる環境で。そこに、もっと悲惨な現状でも明るく振る舞う風香が温かく迎えてくれる家になっていく。
そんなお話でした。
最後はハッピーエンドで、あっさり終わってしまいましたが。
こころ残りは、宰さんにも春が来るといいな、というのと、湊くんは片想いにも気づかれないままなんだろうと。でも、ピンチの時に助けてくれたのは湊くんだったよ。そして、にっぽり君の存在は大きかった。(可愛かった)
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