5.0
ネタバレと感想
重い方の斑目作品です。
2つのお話がありますが、どちらも読み手によって読後の感想が違うと思います。ハッピーと取るかバッドと取るのか。
私はどちらの作品もハッピーエンドに向かって光が見えた所で終わっていると感じました。
しかし、どちらのお話も難しく、解釈するのに時間がかかりました。
「ビューティフルデイズ」
棗の愛し方は本当は凄くシンプル。でも不器用な故に傷付けてしまっている事に気付かず、間違いを何度も繰り返してしまう。
朝陽は愛されなかった子供で捨てられるのを怖がり、棗にとって一番でいることが唯一の存在意義と思って生きている。
棗は本当はとても朝陽を愛していますが不器用過ぎて伝わらず、もう少しで失ってしまう時になりやっと心を曝け出すんですが、その必死さに本当は執着や情熱を内に秘めていた事が露見します。
そしてやはりその手を取る朝陽。
その場面を見て自分はピエロだったんだと気付く広海。
お話はここで終わっていますが、「悪魔にキスを」に短い棗目線のお話がありますので、是非見てください。そこまで読んでこのお話は完結すると思います。何故ならそこに救いがありますので。
そして広海にも救いがあって良かった。いい人だったから余計にそう思いました。
「今日、あなたにー」
3人の”サト”とメイとアキラの複雑で悲しくて苦しいお話です。
其々が其々を利用しながら、苦しんで後悔して耐えて生きてる。
サトシはアキラを美里から奪いながらもメイを愛しているし、アキラを奪われた美里は復讐する為にメイと付き合っているし、メイはアキラを大切に思っているけど美里を代替えに隣に置いています。
3人の目線で3つのお話が続きますので、誰に共感するかで感想が人それぞれ違ってくるでしょう。
メイは美里の壊れた心に気付き、美里はメイに恋をして、サトシはアキラに寂しさを埋めてもらい、アキラは美里を捨ててサトシを包み込む。
ハッピーエンドかバッドエンドかは読み手に任せた終わり方になっています。
この作者様は明るいお話と仄暗いお話の振り幅が凄いです。
ダークなテイストですが私の感じた私なりの評価は満点です!
- 6