4.0
京都へのこだわり
骨董品店のオーナーの孫と、ひょんなことからその骨董品店でバイトをすることになった女子高生が、様々な依頼を解決していく話。
原作の小説は未読。
あらすじだけ紹介するとミステリっぽいが、正直、ミステリ色は薄く、そこはちょっと拍子抜けした。
硬派な(?)私には、主人公二人のラブコメ的文脈も正直、邪魔臭く、「いや、そういうのいいから」と思った。
ただまあ、これも軽度なものである。
そういうわけで、ミステリとしてもラブコメとしても何だか薄い。
重厚な人間ドラマ、ということもない。
じゃあ何の漫画なのか、ということになるが、これは、京都の漫画だと思う。
学生の頃、私は四年、京都に住んでいた。
就職して離れたが、今でもときどき、好きで京都を訪れる。
だから、半端な知識で京都を利用したくらいの作品は偽物と見破れる自信があるが、本作は、違った。
漫画の中でこれほどきちんと京都を描いた作品を、私は他に知らない。
まあ、原作の利なのだろうが、それを画として表現するのには、おそらくかなりのリサーチがあったことが想像される。
作品トータルとして見れば、決して好みではなかったが、京都という町を漫画作品の中でここまでしっかり描写し得たこと、その一点は、素晴らしい。
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