4.0
諦観のリアリティー
ふとしたことから地方のデリヘルで雇われ店長を務めることになった青年を主人公に、彼を取り巻く風俗嬢たちの人間模様を描いた漫画。
絵柄が苦手で、最初はちょっと腰が引けたが、読み進めるうちに、なかなかに引き込まれた。
作品のタッチは淡々としていて、性的な描写はなく、過度にドラマチックな演出もなく、どちらかといえば、作品は意図的に抑制されているように感じた。
その抑えたリアリティーに好感を持ったし、簡潔な一話の中に、風俗で働くことを選んだ女たちの実情の厳しさや感情の機微が、巧みに表現されていると思った。
女性たちの描き方には優しさも感じるが、作品の根本にあるのは、突き放したような冷たさと、極めて現実的な諦観ではないかと思う。
「あんまり店の子に感情移入すんな…おれらに人なんか救えない」。
その諦観が、この漫画にリアリティーを与えているのではないか、と。
そして、その諦観にはまだ染まれない、よくも悪くも「素人」である主人公の存在が、ともすれば寒々しいトーンになりかねない作品にとって、ちょうどいい清涼剤になっている気もした。
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