5.0
負のスパイラルにはまるヒロイン
前作を読んだ人には解っていることだが、主人公は両親から精神的虐待を受けている。
毒親から虐待された人全員がそうなるわけではないが、はるかのような生育史を持つ人の多くが、自己評価が低く他者に依存する傾向が強くなる。
その一方で助けを求めないといけない場面に直面しても一人で乗り越えようとする。
その上、不適切な環境に強い耐性がある。
これらが積み重なり、負のスパイラルが生じてそこから抜けだせない。
主人公はるかの、成長がないとか、行き当たりばったりとか思われる行動は、彼女が愚かなのではなく、親の虐待によって病んでしまったために、適切なケアを受けるという発想が思いつかない故なのだ。
この作者の作品は他にもいくつか読んだが、どれも毒親持ちの子供を描いた作品の中では卓越したものがある。
はるかが毒親にならないように願っている。
- 90