5.0
素敵なストーリーでした。
主人公のカズヤは幼い頃から母親のいない、家庭に育った。
父親は板前の仕事を失い、いつもテレビの前で酒を飲み、女が常にいる生活。
中学生の時、同情した副担任の若い先生が家に迄来て、
進路相談に度々訪れてくれた。カズヤは
ある日、早めに帰宅すると、あろう事か先生と父親がHの最中だった。
先生はその事が噂になり学校を追われた。
カズヤの初恋だった。
その後、社会人になって先生に再会した、先生は水商売の女になっていた。
誘われるまま初体験をした、それからは溺れる様に何度も彼女のもとを訪れた。
彼女と別れて数年、会社の帰りに見かける美容室の女性に憧れを抱く。
ある日、美容室の前での事故をきっかけに彼女と親しくなる。
小さい時から誕生日もクリスマスも祝ってもらった事は無く、母親の愛情を知らないカズヤ。
一回りも年上の唄子はカズヤが愛おしくてしょうがない、カズヤも肌を触れて好きな人と一つになる歓びに幸せを感じていた。
しかし、唄子は旦那を亡くした時、自分を支えてくれた旦那の弟と愛人関係にあった。
あるパーティーをきっかけにカズヤの存在を知られ、工場で油にまみれる様な青二才は唄子に相応しくないと罵倒される。
そして、唄子と別れる様に唄子の義弟がカズヤを待ち伏せし、引かないカズヤに襲い掛かろうとして、返り討ちに会い、見所のあるカズヤを認め、唄子を託してくれた。
6畳ひと間の二人の城で、夜な夜な繰り広げられる営みは、本当に二人の愛の深さを感じるし、いやらしさは感じられない。
ある日、たまたま工場でカズヤを待つ唄子の耳に、カズヤに期待する仲間達の声が聞こえた、自分の存在が足枷になってはいけないと、クリスマスプレゼントの腕時計を残して、カズヤのもとを去る唄子。
3年半もの間、探し続けるカズヤのもとに、移動美容室をやってる唄子の姿がテレビに映る、
すぐさま、離島に居る彼女のもとを訪ね感動の再会を果たす。
かなり濡れ場が多いんですが、女性は肉感的で魅力的、場面場面での表情もしっかり書かれており、背景の景色だったりが丁寧で、読み応えのあるストーリーでした。
カズヤの生い立ちや、二人が互いに思いやる心情に何度も涙した。
本当に良かった。
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