3.0
超能力は下らないことに使おう
「ファイナル・デスティネーション」という映画(死の運命を回避すると、死が追ってくる)と、「ネクスト」という映画(ニコラス・ケイジが二分後の未来を予知できる)に、「リング」の風味を足したような話だと思った。
まあ、それはいいのだが、「呪い」のくだりあたりから、私は急激に興味が薄れてしまった。
主人公は超能力者でありながら、何の志もなく、自分の力を誰かのために使うでもなく、ヒーローになろうとするでもなく、ごくごく小規模なずるさで日常を生きているに過ぎない。
そこは逆にリアルで、好感を持った(主人公に対してではなく、作品としてのアプローチに対して)。
ただ、「それ」を私はもっと読みたかった。
主人公が、制約の多い予知能力を(下らない目的にでもいいから)ずる賢く使って、ろくでもない人生を生き抜く様を。
「なるほど、そんな予知能力の使い方があるのねー。でも、もっとマシなことに使えや!」的なものを。
身勝手で恐縮だが、呪いから主人公の後悔や贖罪に向かっていくストーリー展開には、何だか冷めてしまった。
- 9