5.0
ストーリーで勝負
奇抜な設定や一発ネタに頼るでもなく、美麗な作画で魅了するわけでもなく、あくまでストーリー一本で勝負だ、という実に硬派な漫画である。
話として面白いことはもちろん、それぞれに何かを背負った登場人物たちの描写が丁寧で、しかも説明しすぎず、バランス感覚が絶妙である。
ぞくぞくするほど引き込まれた。
「続きが気になる」とはよく聞くが、自分は、読み始めてしまえば、大抵の漫画でそうなる。
しかし、本作の「続きが気になる」のレベルは群を抜いている。
「気になる」なんて次元ではない。
個人的に、ストーリーに偏った漫画は、「なら小説でいいじゃん」と思うことが多いけれど、ここまで見事にやられると、そんな考えは吹き飛ぶ。
解かれていない謎や伏線(らしきもの)は豊富にあるが、「大丈夫か、ちゃんと回収されるのか」という不安は湧かない。
「きっと上手くやってくれる」という期待が圧倒的に大きい。
そんな信頼感すら抱かせる、見事な漫画である。
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