4.0
「あの頃」をとらえる感性
「性」があまりにも不確かで、謎めいていて、直接に知りたくて触れたくてたまらなくて、でもそのための手段も勇気も足りなくて、好きな人との関係に持ち込むのは何かを汚してしまうような気がして、得体の知れないものに毎日振り回されているようで。
「あの頃」って、そうだったよな、と思い出す漫画。
性を知ることで、私たちの世界は開けていった。
あるいは、開けていってしまった。
何かを知ることは、何かを失うことでもある。
別にそれが悲しくはないが、ちょっとだけ胸が痛むのはなぜだろう。
大人になる痛みを知る前の、子どもならではの痛みを抱えながらさまよう登場人物たちが、あまりにも可愛らしい。
「あの頃」をこんなふうに切り取って描ける感性って、いったいどう生きたら持っていられるのだろう。
と、ひどく感心した。
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