5.0
世界に引き込まれる
最初は不思議ちゃんキャラだらけな雰囲気で、あ、苦手かも、と思いましたが、心理描写にどんどん引き込まれていきました。
主人公だけじゃなく、登場人物全員の想いとか背景とか、とても丁寧に練られているというか。
気がついたら課金で全話一気読みしました。
いつなんだろう、いつ本当の気持ちに正直になって結ばれるんだろう、と思いながら読み進めて、まだなのか、、、いや、でもまだだよね、そうだよね、今はこの遠回りや間違いやすれ違いも必要なんだよね、と自分に言い聞かせながらも、苦しくて押しつぶされそうでした。
甘くてキュンとするありきたりの恋愛物も、それはそれでいいけれど、独特の世界に引き込まれて夢中に読める作品に出会えた時は、読み終えた後の余韻もハンパないです。
いくえみ綾さんは、子供の頃読んだことがありますが、あの頃は独特の世界感が今ほど沁みませんでした。
世界感というか、それぞれ生きづらさを抱えた10代独特の心理描写と言葉のチョイス、これは逆に人生経験を積んだ今だから沁みる気もします。
登場人物全員、だれも悪くない。みんな自分の黒いわがままな面と、だけど相手の気持ちや心を想って大切にして、間違えて悔やんで失ってまた得て。
苦しくても、それが人生であり、人を愛するということがとても素敵で尊いものだと改めて感じました。
ぜひぜひ読んで欲しいです。
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