5.0
素晴らしい
いずれ滅びるであろう我々人類への鎮魂歌なのかなといった感想です。とても面白く重い作品です。
人類は愚かで滑稽で儚く美しいのか。。。
現実では、かちく(命)を育ててバラバラにして店先に並べる。大海原に住む生物を大量に殺して店先に並べる。
高いだの安いだのと買い漁り、旨い不味いと貪り食べる。余ったものは捨てられる。
これが、あたりまえで、現代社会の秩序を維持する重要な一部となっている。誰もやめようとしないしやめられない。
作中では、再生する人体を切って分け与える。それを食べる村人を、人ではないと燃やし尽くす。
集団の思想は、その住環境と慣例によって、ある程度統合され集団としての秩序になる。それを全く違う思想を持った集団が正義を振りかざし蹂躙する。その繰り返し。。。淘汰されてもまた繰り返す。
なんて愚かなのでしょう。なんて滑稽でなのでしょう。
主人公は、その繰り返しの産物で、自らもそれを繰り返す側となり苦しむという馬鹿馬鹿しさ。
そして死ぬこともできず、生きたまま何度も生まれ変わり、永遠の時を生きてしまうという悲惨さ。
この作者がこの作品を通して、こんな事を問いかけをしているように思いました。
滑稽で悲惨で愚かな事をいつまで繰り返すのかな?
でもやめられないのでしょう?
もう嫌気がさして来たでしょう?
悲惨でしょ?どうなると思います?
人の幸せってなんでしょう?
こんな結末にあなたは何を思いますか?
後味はどうですか?
読みごたえ充分です、少々おつりが来ます。おすすめです。
- 10