5.0
作品の世界観の中に引き込まれる
この作品の主人公の宇相吹正さんは、ご自身でもおっしゃっているように「殺し屋」です。
復讐代行業ではありませんので、復讐をテーマにした漫画を読んで感じるカタルシスを期待して読むと肩透かしを喰らいます。
読むなら、数話だけで留めるのではなく、全話読んだ方がよいでしょう。
主人公は超能力のようなものを使って業務を遂行しますので、数話読んだだけだと安直なストーリーという印象を持ちかねません。
だけどこの漫画は、カタルシスを得たり、復讐の手段の現実性に驚嘆したりする作品ではないと思います。
作品の世界にどっぷり浸って、妖しい主人公に引き回されて、人の愚かさ、醜さを見せつけられる。
気がついたら、読み手が宇相吹さんによる幻想に酔ってしまっているというお話です。
追記:宇相吹さんはお金をあまり持っていらっしゃらないようです。
依頼人に高額の請け負い料をふっかけたりはしていないようです。
純粋な自分の探求心から殺し屋をなさっているようですが、もしかしたら野良猫の餌や避妊手術のための出費でいつもカツカツの生活をしているのかもしれません。
全話読むと、主人公の生活ぶりも想像できる楽しみがあります。
- 53